構造のプロが教える地震に強い家の作り方~土地選びの方法 現地調査5選~

構造大好きミです。

構造設計に八年間関わっている私が、地震に強い家を建てる為の具体的や土地選びで現地で確認すべき5つのポイントを解説します!

土地選びの際、地震に強い家を建てるために、頑丈な地盤の土地を選びたくてもなかなか分からないですよね。

軟弱地盤だと地盤改良に100万単位でお金がかかることもあります。

土地の価格だけで決めると結果的に頑丈な地盤の土地の方が安くなることもあります。

また、地震の際に外的要因で建物にダメージを与えたり、他にも影響を与える要因があるので、周りの状況もあわせて確認しましょう。

解説する私が実際に行った5つのポイントを現地で確認して、土地選びの参考にしてください。

土地の周りのマンホールをチェック!

マンホール周りのアスファルトにひび割れがあったらそこの地軟弱地盤の可能性があります。

なぜマンホール回りにひび割れがあると軟弱地盤なのか?

簡単にプロセスを紹介すると

①軟弱な地盤の場合、自然に地盤沈下が生じる。

②それに対してマンホールは下水道で広範囲に繋がって、広い範囲の地盤で支えられていて沈下しにくい。

(そのため、高さの基準として用いることが多々あります)

③マンホールや下水道の高さが変わらないまま地盤だけが沈下。

④結果地盤だけが沈下し、マンホールの周りのアスファルトにひび割れが発生。

よって、マンホール周りにひび割れがあると軟弱地盤の可能性が高いことが分かります。

軟弱地盤の土地で頑丈な家を建てるには地盤改良が必要となります。

100万単位で費用が掛かること、地震で液状化する可能性が有ることを認識の上で購入しましょう。

周りの家の状態をチェック!

周りの家が自分家に倒れてくると設計時の想定外の力がかかり、地震に強い家でも倒壊する可能性があります。

その為、周りの家の状況をしっかり確認しましょう。

確認すべき内容としては

①メンテナンスがきちんとされているか

②古い建物でないか

の二点です。

①メンテナンスがきちんとされているか

メンテナンスをきちんとされていないと、しっかりした設計がされていても、木造では柱の腐りや白蟻、鉄鋼では錆の被害などによって建物がもろくなります

具体的には下記の家は注意です。

・外壁や屋根が剥がれた所をビニールシートで覆って、応急措置したまま放置している

(構造体が腐ったり錆びたりしてもろくなり、地震時に倒壊する可能性が高まります)

・鉄骨柱の脚部が錆でぼろぼろになっている

・草木が生えて、人が出入りしている気配がない(長期間締め切る湿気がこもり、老朽化が進み、脆くなってる可能性が高まります)

古い建物ではないか

古い建物だと、古い法律で建てられている為、現在の耐震基準を満たしていないことがあります。

具体的は1981年(昭和56年)に耐震基準が大きく変わっている為、それ以前に建てられた建物は大地震の際に倒壊する可能性が高いです。

旧耐震(1981年以前)と新耐震(1982年以降)がどれだけ違うかというと、地震自体で大きな被害を受けた阪神淡路大震災での状況を見ると大破、倒壊合わせて旧耐震は約28.6%。新耐震は8.7%と三倍以上の差があります。(割合はこちらから引用させて頂きました。)

古い建物が有るときは、いつ建った建物なのか確認しましょう。

確認方法として

①近所の人に話を聞く

②概要書を確認する

方法があります。

手っ取り早く分かりやすいのが①の近所の人に話を聞くです。

しかし、正確な年数が分からなかったり、聞く人が見当たらない場合②の概要書を確認する方法があります。

概要書って何?って思う人がほとんどだと思いますので、概要書がどこで見れるのか、内容の見方を後日記事にしたいと思います。

繰り返しになりますが、1981年以前の建物か否かで危険性が大きく変わるのでしっかり確認することをオススメします!

境界のコンクリートブロックをチェック!

・コンクリートブロック(以降CB)にひび割れがないか

・CBが高く積みすぎていないか

の二点を確認しましょう。

CBにひび割れがないかチェック!

ひび割れがある場合、軟弱地盤で不同沈下を起こしている可能性があります!

最初のマンホールの話と同様に地盤改良が必要となる可能性が有ることを覚悟しましょう。

CBを高く積みすぎていないかチェック!(擁壁編)

まずCBを擁壁(土を受ける壁のことを擁壁と言います)として利用している時は、三段目以上に土がかかっている場合は注意が必要です。

CBは基本的に土を受ける為の材料ではありません。

現状は大丈夫でも、将来的に変形してきて、越境や、崩壊(三段くらいであれば崩壊まではなかなかいかないとは思いますが)の危険性が出てくるため、トラブルに巻き込まれないために避けた方が望ましいと考えています。

ただ、一般的なCBとは別にCP型枠(参考)というコンクリートブロックを擁壁に使えるように改良したものがあるますのでこちらであれば問題はありません。

しかし、正直見た目では判断難しいです。

売り主様に話を聞いて、確認しましょう。

CBを高く積みすぎていないかチェック!(塀編)

土を受けていないCBについてのチェックすべき点を紹介します!

高さ2.2m以上(CBにして11段以上)積まれている場合そもそも建築基準法を満足していない為地震時に倒壊の危険性があります。

そのようなCBの塀が隣地にある場合は、土地の購入はオススメしません。(私は買いません。)

また、1.2mを超える場合(CBが7段目以上)は控壁という、塀に直交する壁が3.4m以内毎に必要となります。

該当する塀であれば必ず控壁が有ることを確認しましょう。

上記の内容は日本建築学会のHPの<a href=”http://www.aij.or.jp/jpn/symposium/2018/CB180629.pdf” target=”_blank”>危ないコンクリートブロック塀の見分け方</a>にも書かれています。

崖の近くはやめておけ!

安くて便利な土地を探していくと、崖の上、や崖の下などの土地が出てくる事があります。

それ以外は好条件だった場合、選びたくなりますが絶対にやめた方がいいです。

というのも、工事を行った際崖を崩して隣地に被害を与えた際、施工業者の責任ではなく、施主の責任になる可能が高く、多額の賠償金を払うことになりかねません。

また、大雨の際や地震の際に崩壊する可能性もあるります。

もちろん修復費用は自費です。

金銭的なメリットに比べて安全性、長期的にみた金銭的なリスクが高いので、崖の上下はやめることをオススメします。

近所の人に話を聞こう!

地震に強い家の内容から離れてしまう部分もありますが、候補地の近所の人に話を聞くことで、その土地の思わぬ特徴(落とし穴)を聴けることがあります。

候補地を見に行ったら、付近で散歩している人、世間話をしている人、など探せば見つかるので是非聞いてください。

どんなことを聞けば良いかというと、

・元々何があった土地か

(元々池だったりすると、粘土質が堆積したり埋め立てより地表面が軟弱地盤の可能性が高いです。元々家が建っていれば、前の家の荷重で沈下が起こりにくくなっている可能性があります。)

・大きな水害の時大丈夫だったか

(実は土地の高さが低くて、冠水する土地はなかなか気付きずらいですが、聞くことで冠水する土地なのか知ることができます。)

他にも気になることは色々聞いてみましょう。

みなさん以外と親切に教えてくれますよ。

勇気を出して聞いてみましょう。

地震に強い家を作る為の土地選びの方法のまとめ

私が実際に行った土地選びの方法5選

・土地の周りのマンホールをチェック!

・周りの家の状態をチェック!

・境界のコンクリートブロックをチェック!

・崖の近くはやめておけ!

・近所の人に話を聞こう!

を紹介しました。

是非購入前に一度確認してください。

以上!安心出来る家が出来るよう頑張りましょう!

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする